これから、絶望するというのに、正面には天国があった。
ビルの白い入り口を見ると僕には天国とは縁がないことを思い知った。
やっぱり坊主の僕には天国じゃなく涅槃が待っているのだろう。
ビルの前を通りすぎると、今度は正面にエンジェルがいた。
じっと僕を見つめている。
そこにはこんなことが書いてあった。
「生き方が下手な大人たちへ贈る―家族とは愛とは何か、シンプルな答えがみつかる感動作。」
メイジーの瞳という映画のポスターだった。
「愛が何か見えているのは、きみの瞳だけ。」
残念だけど、キミと言われても、僕にはまったく何も見えなかった。
ぼくの頭は坊主なので「くう」ことしか入ってない。
店の前につくと、そこは、まるでエクソシストに登場する階段のようだった。
エクソシストのテーマソングが流れてきた。
YouTube http://www.youtube.com/watch?v=LmSDdxxw9VI
意を決して店に入り、絶望を注文した。
現在こちらのお店には、57件食べログにレビューがあます。
ソースが甘いとか、甘すぎとか書いている方もいらっしゃいますが、
世の中も、ここのパスタもそんなに甘くはありません。
もっと世の中の辛酸を、田中正造のように舐めてほしいと思いました。
ぼくはデスソースという辛酸と屈辱を味わっているので、
もうこれ以上辛いのは嫌です。
57件のレビューに「絶望」文字は24か所あります。
しかし、絶望の味については書いていても、その意味について語る者は一人もいなかった。
意味が分からずして、本当に味わうことができるのだろうか?
たしかに喜び、快楽を味わう人生は楽しい。
しかし、その意味を考えず、意味も分からずに生きているのは・・・・・。
意味を問うことを知らずに喜びを追求している人に、
考えることを教えるのは、苦痛与えるにすぎない。
今までの空しさに気付き絶望するかもしれない。
無知の血が騒ぐ。
知性というリンゴを与えられた人は、そのことを恨み、
知性もらったことを罪とまで言い出す始末だ。
このパスタは地獄の釜茹でのように血の色で赤い。
それをすくうように細い糸が垂れては切れてしまう。
まるで蜘蛛の糸、苦悶の意図があるかのように。
その苦悶を味わうように、とろけるチーズは甘美な味がする。
人の不幸は蜜の味。
まるで悪徳の華のようなパスタだった。
「絶望」というネーミングの由来らしきものを見つけた。
http://bit.ly/1jvlaS4
“いろんな意味で絶望的。
もともとこの名前がついたのが、厨房の中のスタッフがいろいろ手をかけおいしくしようと工夫した。
そのソースを作るのに絶望的なほどに時間がかかる。
手間もかかるから本当は作りたくはないんだけれど、人気があるから作り続けているんだよ…、ってそんな意味で名前がついた。”
たしかに「絶望」パスタは長く待たされる。
待っている間、偏屈王モンテクリスト伯の言葉を思い出した。
「待て、そして希望せよ」
案の定、希望したように、帰りに巫女に会った。
粉をかけようとしたが、ガラスの向こうで粉は届きませんでした。
ホームズパスタ 渋谷店 (パスタ / 渋谷駅、神泉駅、明治神宮前駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.5
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